こんにちは、節約研究家のハチワレです。
今回はこんな質問にお答えします。
個人事業主で引っ越しをしました。必要な手続きはありますか?
引越しにはさまざまな手続きが必要になりますが、とくに個人事業主の場合にやらなくてはならない手続きがあります。
この記事では、最近引っ越しをした個人事業主のハチワレが、個人事業主が引越しの際に必要となる手続きを、実体験を交えて説明します。
個人事業主/フリーランスが引っ越しの時にやる手続きは?
それでは、個人事業主が引っ越しの時にやる手続きを具体的に見ていきましょう。
次の順で説明していきます。
- 国民健康保険の手続き
- 国民年金の手続き
- 開業届に関する手続き
- 所得税と住民税はどこに支払うの?
- 引越し代は経費になるの?
やるべき手続きをまとめて解説します!
一般的な引越しの手続きはこちらで紹介しているので、あわせてご覧いただくとやるべきことがさらにわかります。
一人暮らし向けですが、誰にでも共通する部分がありますので参考にしてください。
国民健康保険の住所変更手続き
個人事業主の場合、国民健康保険に加入している場合が多いと思われます。
国民健康保険の手続きは引越し先によって異なります。
- 同じ市区町村に引っ越す場合
- 異なる市区町村に引っ越す場合
この2パターンに分けて解説します。
同じ市区町村に引っ越す場合
同じ市区町村に引っ越す場合は「住所変更手続き」をおこないます。
住んでいる市区町村の役場で手続きをおこなってください。
国民健康保険の住所変更手続き
- 期限:転居後14日以内
- 必要なもの
- 国民健康保険証
- 本人確認書類(免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
- 印鑑
- 郵送:不可
- 代理人:可(委任状が必要)
引越しした時には役場に「転居届」を提出する必要があるので、ついでに済ませると楽です。
異なる市区町村に引っ越す場合
異なる市区町村に引っ越す場合は、「資格喪失手続き」と「加入手続き」が必要です。
「資格喪失手続き」はこれまで住んでいた市区町村役場、「加入手続き」は新しい住所の市区町村役場でおこないます。
国民健康保険の資格喪失手続き
- 期限:転居後14日以内(引越し以前でも手続き可能)
- 必要なもの
- 国民健康保険証
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
- 印鑑
- 郵送:可
- 代理人:可(委任状が必要)
引越し前に役場に「転出届」を提出する必要があるので、ついでに済ませましょう。
国民健康保険の加入手続き
- 期限:転居後14日以内
- 必要なもの
- 転出証明書
- 本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
- 印鑑
- 郵送:不可
- 代理人:可(委任状が必要)
こちらも「転入届」を提出する際に、ついでに出しておくと楽ですね。
筆者の体験談
ハチワレは東京23区の異なる区への引越し。
引越しの際にマイナンバーカードの「引越し手続き」を使ったため、転出届提出を省略できました。
そのため、国民健康保険の「資格喪失手続き」はやり忘れました。
新しい住所の区役所に転入届手続きをおこなった際に国民健康保険の「加入手続き」をおこないました。
その後、電話にて以前の住所の区役所に確認したところ、新しい区での加入手続きの情報が共有されていたようで「資格喪失手続き」は不要でした。
また、保険料の過払いがあったため、郵送にて払い戻しの手続きをおこないました。
保険料の二重払いにならないよう、過払い金の払い戻し手続きはしっかりとやりましょう!
国民年金の住所変更手続き
国民年金の住所変更手続きは、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合、届出は不要です。
自身のマイナンバーと基礎年金番号の状況は「ねんきんネット」で確認できます。
マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない場合は、市町村役場で手続きをおこなう必要があります。
同じ市区町村内で引っ越す場合、異なる市区町村に引っ越す場合、いずれも手続きが必要です。
筆者の体験談
ハチワレはマイナンバーと基礎年金番号が結びついていたため、手続きは必要ありませんでした。
マイナンバーカードを持っていて、たぶん以前に結びつける設定をしてたんだと思います。
開業届に関する住所変更手続き
つづいて開業届に関する手続きです。
自宅を事務所としている場合は、1ヶ月以内に「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を税務署に提出するルールがあります。
しかし、2023年1月1日以降は、確定申告書に記載して提出すれば「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」の提出は不要になりました。
参照
》国税庁「納税地の特例等に関する手続の変更について」
》国税庁「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する手続」
つまり、次の確定申告のときに新しい住所を記載した確定申告書を作成し、管轄の税務署に提出すればOKです。
ただし、確定申告書はその年の1月1日に住んでいた住所で作成します。
1月2日以降に引っ越した場合は、以前の住所で作成し、以前の住所の管轄である税務署に提出してください。
住所変更のために税務署に行く必要がなくなりました。
開業届を出していない場合
個人事業主になるためには開業届の提出が必要です。
しかし、ペナルティーがあるわけではないので開業届をまだ出していない場合もあります。
その場合は、引っ越したことをきっかけに開業届を提出することをおすすめします。
なぜなら、開業届を出していれば青色申告が可能になる「青色承認申請書」を提出できるからです。
青色申告は節税効果が高いので、ぜひこの機会に開業届を出しましょう。
筆者の体験談
ハチワレは異なる税務署の管轄地域への引越しでした。
開業届の再提出が必要になると勘違いしてわざわざ作成して税務署に出向いたのですが、不要と言われ、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」をその場で作成して提出しました。
しかし、後からこれも不要だったことを知りました。
そもそも税務署に行く必要がなかったんですね…。
所得税と住民税はどこに支払うの?
つづいて、税金の支払い先の確認です。
期中に引っ越した場合、所得税と住民税はどのようにおさめればいいのでしょうか。
所得税の支払い先
所得税は国税なので支払い先は変わりませんが、確定申告書を提出する税務署が変わります。
その年の1月1日に住んでいる(事業所がある)地域の税務署で、前年1月1日〜12月31日分の確定申告をおこないます。
そのため、1月2日以降に引越してまだ確定申告していない場合は、前住所で確定申告します。
確定申告書には前住所を記載して、前住所を管轄している税務署に提出してください。
といっても、e-Taxを使えば、わざわざ前住所の税務署に行く必要はありません。
住民税の支払い先
住民税はその年の1月1日に住民票がある自治体から、前年1月1日〜12月31日分が課税されます。
そのため、2つの自治体から二重請求されることはありません。
請求書は毎年6月頃に郵送されてきますが、1月2日以降に引越しをした場合は前住所の自治体から現住所に請求書が届きます。
自治体は引越し先の住所を把握しているので、住民税に関する特別な手続きは必要ありません。
引越し代は経費になるの?
個人事業主で自宅を事務所と兼ねている場合、引越し代の何割かを経費として計上することができます。
これを家事按分(かじあんぶん)といいます。
荷物の何割が事業に関するものかに基づいて経費の割合を決定するので、引越しの際の参考にしてください。
個人事業主の手続きを忘れず、お得に引越ししよう
以上、個人事業主に必要となる引越しの手続きでした。
- 国民健康保険の住所変更
- 国民年金の住所変更
- 開業届に関する手続き
- 所得税・住民税の支払い先の確認
- 引越し代の経費計上
個人事業主の引越しは、追加の手続きが必要となります。
手続きは面倒ですが、頭のなかを整理して忘れずにおこなうのが大切。
とくに国民健康保険料の過払金や引越し代の計上など、うっかり忘れると損することもあるので見逃さないようにしましょう。