個人事業主×簿記3級×FP3級のハチワレです。
今回はこんな質問にお答えします。
個人事業主が支払わなければいけない「国民年金」について教えてください!
国民年金の保険料は、国民年金は20歳〜60歳未満のすべての人に支払い義務があります。
しかし保険料が高くて、支払いが大変な方も多いと思われます。
この記事では、国民年金の基本を確認したのち、支払うとどうなるのか、支払わないとどうなるのかを説明します。
また、経済的な理由で支払いが難しい方のための免除制度も紹介しています。
この記事を読んで疑問を解決して、不安を解消しましょう。
国民年金は怖くない、です!
国民年金って?
国民年金は日本の公的年金制度のひとつです。
65歳以上になってから年金をもらうために、安くない保険料を毎月支払わなければいけません。
ちなみに会社員や公務員は、国民年金に加えて厚生年金に加入しています。
- 個人事業主等 → 国民年金
- 会社員、公務員→ 国民年金+厚生年金
会社員や公務員は厚生年金を支払っている分、国民年金のみの人よりも将来もらえる年金額が高くなります。
この記事は、国民年金のみを支払っている方に向けた内容です。
厚生年金に関する説明は、今回は割愛します。
それでは詳しく見ていきましょう。
メリット
では理解を深めましょう。
国民年金に加入することで受けられるメリットは次の3つです。
- 老齢給付
- 障害給付
- 遺族給付
一つずつ見ていきます。
将来もらえる「年金」に以外にも、実は2つのメリットがあります。
① 老齢給付
65歳以上になったら受給できる、いわゆる「年金」と皆が呼んでいるものです。
いくらもらえるかというと満額で年間777,800円です。
2023年現在の金額です。
年間80万円以下という数字はかなり少なく感じられますが、将来はこれよりも低くなるかもしれません…。
もらえる額は、年金保険料が未納だった期間や免除された期間が関係します。
つまり、国民年金保険料を払っていない月があるほど、満額から減るということです。
② 障害給付
病気やケガによって障害者となった場合、給付を受けられます。
金額は次の2パターン
- 障害等級1級の場合:
年間972,250円+子供がいる場合に加算 - 障害等級2級の場合:
年間777,800円+子供がいる場合に加算
老齢給付とは違って、もらえる金額は納付状況にかかわらず一定です。
人生なにがあるかわからないモノ。障害を負ってしまった時の助けになります。
③ 遺族給付
死亡した場合、遺族への給付があります。
遺族給付の金額は、「年間777,800円+子供がいる場合加算」です。
遺族給付も、納付状況にかかわらず金額は一定です。
遺族給付は子供がいる場合に限られるなど、仕組みが複雑です。詳しく知りたい方は調べてみてください。
以上3つの給付内容でした。
- 老齢給付
- 障害給付
- 遺族給付
「①老齢給付」は支払い状況に応じて、もらえる給付額が増減します。
「②障害給付」と「③遺族給付」は、支払い状況に関係なく一定の給付額になる、ということを確認しました。
もらえる条件
先ほどの章では3つの給付内容を見てきました。
これらの給付を受けるためには条件があるので、ひとつずつ確認しましょう。
① 老齢給付の場合
■ 条件
- 受給資格期間が10年以上
受給資格期間というのは、次の期間の合計です。
- 保険料納付済期間:
支払った期間 - 保険料免除期間:
手続きをして、支払いが免除となった期間 - 学生納付特例期間:
手続きをして、学生時の支払いの猶予を受けた期間 - 納付猶予期間:
手続きをして、支払いの猶予を受けた期間
つまり、保険料を手続きせずに未納のまま放置して、受給資格期間が10年未満となった場合、年金がもらえなくなります。
② 障害給付 / 遺族給付の場合
障害給付と遺族給付の条件は同じなので、まとめて確認しましょう。
■ 条件
- 保険料納付済期間+保険料免除期間が全被保険者期間の2/3以上
- 特例として、直近1年間に保険料の滞納がなければOK
以下の合計が、20歳〜今までの期間の2/3であることが条件です。
- 保険料納付済期間:
支払った期間 - 保険料免除期間:
手続きをして、支払いが免除となった期間
この条件をクリアできなかった場合は、特例として、直近1年間に保険料滞納がなければOKです。
給付を受けるためには、未納のまま放置が一番危険ですね…。
つまり、年金保険料の支払いが難しい場合は、未納のまま放置するのではなく、手続きをして免除を受けることで給付条件をクリアすることができます。
国民年金の支払い
では、国民年金の保険料はいくらかを確認しましょう。
収入にかかわらず一定です。
- 月額16,590円
これは2023年現在の保険料です。今後、変化する可能性もあります。
年金保険料は、年間払いや2年払いをすることで割引になります。
お得な支払い方法は改めて紹介します。
保険料の免除
免除というのは、払わなくていいということです。
免除されるのは嬉しいですが、支払わなかった分、将来もらえる老齢給付の金額は下がることになります。
免除の場合、未納とは違って、将来もらえる金額が0円になることはありません。
免除は3つの種類があります。
とくに②の申請免除に該当する方は要検討です。
① 法定免除
- 障害基礎年金を受給している人
- 生活保護を受けている人
この条件に当てはまる人は、届出を出すことによって保険料の全額が免除されます。
② 申請免除
- 経済的な理由で、保険料を納付するのが困難な人(所得が一定以下)
申請して、認められた場合には、保険料の全額または一部が免除されます。
経済状況によって4段階の判断を受けます。
- 全額免除
- 3/4免除
- 1/2免除
- 1/4免除
収入が低くて滞納している方は、申請免除の対象になる場合があります。
③ 産前産後期間の免除制度
- 出産する人
出産予定日の前月から4ヶ月間の保険料が免除されます。
産前産後期間の免除の場合は、将来もらえる年金額への影響はありません。
免除期間の年金額への影響
免除期間は老齢給付でもらえる年金額に影響すると言いました。
どのくらいの影響が出るのかを確認しましょう。
- 全額免除期間 →1/2に減額
- 3/4免除期間 →5/8に減額
- 1/2免除期間 →3/4に減額
- 1/4免除期間 →7/8に減額
保険料の全額免除の場合でも、将来もらえる年金額は0円にはなりません。
たとえば、20歳〜60歳までの全期間が全額免除でも、年金は半額もらえます。
つまり、未納よりもずっとお得ということです。
未納の方は、条件に当てはまりそうならば、すぐに免除申請をしてください!
保険料の猶予制度
次に、保険料の猶予(ゆうよ)制度について説明します。
猶予とは、支払いを待ってもらうことです。
免除制度とは少しルールが異なるので気をつけてください。
① 学生納付特例制度
- 本人の所得が一定以下の学生
手続きをすることで、支払いが猶予されます。
② 納付猶予制度
- 50歳未満で所得が一定以下の人
手続きをすることで、支払いが猶予されます。
猶予期間の年金額への影響
猶予期間は、免除期間と同じく、将来もらえる年金額に影響します。
注意点は、免除の場合は全額免除でも1/2減額でしたが、猶予期間はゼロ扱いになることです。
極端な話、20歳〜60歳までの全期間が猶予だったら、年金支給額は0円になります。
猶予制度は、保険料を後から納める追納(ついのう)前提の制度と言えます。
保険料の追納(ついのう)
保険料の免除または猶予をうけた期間は、10年以内なら後から支払うことができます。
保険料を後から支払うことをを追納(ついのう)と言います。
ただし、3年度経ったのちに追納する場合、超過分が加算されて保険料が高くなることに注意してください。
保険料を支払わずに滞納した場合、2年以内の追納しかできません。
やはり未納のまま放置するのはキケンですね。
保険料を安くする方法
ここまで年金について詳しく見てきました。
毎月1.65万円という高い保険料ですが、支払いは国民の義務です。払っていかなくてはなりません。
賢いやり方を考えてみましょう。
① 配偶者の厚生年金の扶養に入る
夫もしくは妻が会社員や公務員で、厚生年金の被保険者であった場合は、次の条件で扶養に入ることができます。
- 年収が130万円未満であること
- かつ、扶養に入れてくれる人の年収の1/2の年収であること
自営業の場合は、年収から必要経費を引いた所得が130万円未満で、扶養者の年収の1/2ならば、扶養に入れます。
これができれば、自身で国民年金に加入するのと同じ給付を0円で受けられます。
年金制度の扶養は配偶者のみ。親子関係では扶養に入れません
② 申請免除を申し込む
収入が低い場合、先ほど説明した申請免除は検討の余地があります。
免除によって将来もらえる年金額は減ることになりますが、未納のまま放置するよりはもらえる金額が上がります。
支払えないならば申請免除がおすすめ!
③ クレジットカード支払いで前納する
保険料は、半年分/1年分/2年分をまとめて前納すると、割引となります。
さらにクレジットカードにて支払うと、ポイント還元されお得です。
貯金に余裕があり、少しでもお得に支払いたいならばこの方法が一番です。
④ 確定申告で社会保険料控除する
国民年金の保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。
確定申告によって、全額分を所得から差し引くことができるので、節税効果が高いです。
個人事業主の方、また、アルバイトで勤務先の社会保険に加入いない方は、しっかり確定申告をしてください。
還付金が戻ってくるケースもあります。
確定申告を詳しく
確定申告の詳しい方法はこちらの記事で紹介しています。
まとめ
国民年金について。どうだったでしょうか。
この記事を読んで少しでも不安が解消されたならば嬉しいです。
言いたかったことは、とても簡単です。未納のまま放置すればするほど損ということ。
年金のこと、誰も教えてくれないくせに、支払い用紙だけが届けられ恐怖を感じてる人も多いと思います。
でも、わかってしまえば対処方法が見つけられます。
このブログでは、あなたの活動のためのお役立ち情報をこれからも発信していきます。